コラム

透析関連情報

これから透析を始める方へ~腎臓と透析について~

「透析」という言葉を耳にした事があっても、内容が分からず不安を抱いている方がいらっしゃるかと思います。

透析を説明する前に「腎臓」がどんな働きをしているのかを書いていこうと思います。

①腎臓とは?

腎臓とは腰の左右に一個ずつあり、尿を生成している臓器です。腎臓では以下の6つを主に行っています。
① 老廃物の排泄
② 水分量の調節
③ 体液バランスの調節
④ 血圧の調節
⑤ ビタミンDの活性化
⑥ 赤血球を作る

腎臓では、これらの働きを24時間365日休むことなく行われています。しかし、腎不全(腎臓機能不完全)の状態ではそれらの機能が行われにくくなります。では、腎不全になった体の状態はどうなるでしょうか。

 

① 老廃物が排出されにくくなるため体の中に溜まってしまいます。
② 体液中の電解質バランスが調節できないので、生命維持に重大な影響が出ます。
③ 血圧を調節するホルモンを含む経路の異常もあり高血圧となります。
④ ビタミンDが活性化されないため骨が弱くなります。
⑤ エリスロポエチンが不足するため赤血球が作られず貧血となります。
更に、体に老廃物が溜まって症状が出ることを「尿毒症」と言います。頭痛・だるさ・嘔気・むくみ・食欲不振などが生じます。

②透析の役割とは?

透析はそれらの症状を改善するために人の腎臓の一部を肩代わりするための治療です。全てが透析によって改善するわけではないため薬も併用されます。

透析を行うためには、一部の血液を体外へ出す必要があるためブラッドアクセスというものが必要になります。これは、シャントと呼ばれる動脈と静脈を繋げるのもあれば、カテーテルを挿入する場合もあります。

 

体表からカテーテルは一部しか見えません。カテーテル先端は上大静脈を通って心臓付近にあります。

ブラッドアクセスにより体外へ出した血液はダイアライザー(人工腎臓)と呼ばれる筒の中を通ります。これが、人の腎臓の代わりをするものになります。そこを、通ることにより老廃物排泄や体液中の電解質バランスを調節します。調節された血液はまた体内へ戻されます。

 

 

一般的な透析は週3回で1回4時間以上です。透析を導入して直ぐの頃は透析不均等症候群があり、人工腎臓で血液中の老廃物を排除しますが脳の組織からは老廃物が抜けにくい特徴があります。そのため、脳は老廃物が残った状態となります。その結果、老廃物を薄くしようと体の水分が移動する事で脳が浮腫み嘔気や全身の怠さなどが出ます。そのため、はじめはゆっくりと血液を綺麗にしていきます。これは、透析導入期に生じますが慣れてくればこのような症状はなくなります。

 

透析に慣れてきたら1回の透析時間を延ばしたり、体外へ出す血液の量を増やすことで老廃物排泄を促したり、電解質バランスを整える様にステップアップしていきます。

 

腎臓とは尿を出すだけではなく数多くの働きをしており、それらの一部を医療の力で肩代わりしようとするのが透析です。

いかがでしたか?今回の内容で透析への不安が少しでも払拭されれば幸いです。

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