血液濃縮率について
患者様はスタッフから「DWが厳しいから少し体重増やそうか?」「DWが甘いから少し体重減らそうか?」と言われますね。
患者様のDWを決定する際の項目として血液濃縮率測定があります。
メーカーにより名称は様々ですがBLM・BV計・クリットラインと呼ばれるものです。
今回は、血液濃縮率測定について記載します。
1:血液濃縮率
透析を行う理由の一つとして除水があります。
しかし、DWが厳しいと今まで除水出来ていた量でも血圧が下がってしまう危険があります。
DWを決める際の項目として家庭血圧や透析中血圧やCTR(心胸比)があります。
当院では上記の項目以外に血液濃縮率測定もDWを決める際に使用する事があります。
血液濃縮率を以下で図にしてみます。
- ①②どちらも同じ量の除水とします。除水前と除水後で血液量が変わらないとします。
- ①濃縮率が適正または甘い状態です。
除水後でも水分に余裕がありますね。
- ②濃縮率が厳しい状態です。
除水後ではかなり水分が少ない事が分かります。
- ①②どちらも同じ量の除水をしていますが除水後に残っている水分に大分差がありますね。
そのため、患者様としては「今まで〇kgくらいなら余裕だったのに最近血圧が下がっちゃうんだよな」という場合が②の図のようになっているためです。
2:血液濃縮率測定
先ほどは同じ量の除水をしていると記載しました。
例えば①の状態は100から20を引いて80になったとします。
100-20=80 つまり、20%の低下です。
次に②の状態は50から20を引いて30になったとします。
50-20=30 つまり、40%の低下です。
今まで除水が出来ていてもDWは日々変化するものです。
その都度、確認しないと同じ量でも体への負担は大きい事が分かりますね。
血液濃縮は以下の要素も考えなくてはなりません。
これは、体内の水分分布を図にしたものです。
左は除水する前で全ての領域が同じ高さになっていますね。
右は除水中です。血漿(血管)から除水するためその領域が低くなります。
しかし、隣の組織間液から水分が補充(プラズマリフィリング)されることによって血漿領域の水分が空になりません。
DWが厳しい状態ではこのプラズマリフィリングがしっかりおこなわれないため血漿領域の水分が急速になくなり血圧低下の原因となります。
3:グラフの見方
血液濃縮のグラフを以下に示します。
縦軸は濃縮率で横軸は透析経過時間です。
紫色の線はリファレンスエリアと呼ばれるものでその枠内で濃縮が進めば安全な除水が行えると言われるものです。
- ①リファレンスエリアを上に逸脱しています。これは、濃縮していないためDWが甘い事を表しています。
- ②リファレンスエリア内を推移しています。これは、DWが適正である事を表しています。
- ③リファレンスエリアを下に逸脱しています。これは、濃縮が強いためDWが厳しい事を表しています。
この様にして当院では患者様の適正なDWを決めるために様々な項目を用いて決定してQOL向上に寄与できるように努力しております。