アンサング・ヒーロー
4月はなかなか気温が落ち着かなかったですが、ようやく風薫る季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は薬のエキスパートである「薬剤師」についておはなしさせていただきます。
薬剤師の仕事は、主に「調剤」と「服薬指導」を行います。調剤とは、医師から指示された処方せんをもとにお薬を調合することで、服薬指導は患者様にお薬の飲み方をわかりやすく説明することです。
当院には慢性腎不全で透析治療を受けている患者様や腎臓の機能が低下している患者様が多く通院されています。そういった患者様では、腎臓からの薬物の代謝が上手くいかず、体に蓄積されて悪影響を及ぼす危険性があります。そのため、減量が必要なお薬や内服してはいけないお薬があります。
例えば、虫歯で歯医者を受診した際に痛み止めや抗菌薬を処方してもらうこともあると思います。ロキソニン®やボルタレン®などのNASIDs(エヌセイズ)という種類の痛み止めでは、まだ残っている腎臓の機能低下を進行させてしまうおそれもあります。また、減量が必要である抗菌薬も通常量で処方されていることが見受けられます。
そういった場合に患者様にお薬が投与される前に、専門的な知識を持った薬剤師が医師に投与量を確認することがあります。
みなさんはドラマなどで「薬剤師のくせに医師の処方にケチをつけるな!」みたいなシーンを観たことはありませんか?
薬剤師法第24条で「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。」と定められています。
つまり、処方内容が疑わしい際には医師に問い合わせをする必要があるということです。
これを疑義照会(ぎぎしょうかい)といいます。
先程のは、疑義照会を受けた医師がやっかみに感じているシーンですね。先述したように、慢性腎臓病の患者様では投与量などの調節が必要になります。そのため、疑義照会はとても重要で、薬剤師は、誤った投薬から患者様を守る最後の砦ともいえます。まさにアンサング・ヒーロー(縁の下の力持ち)ですね。
ちなみ当院には院長先生はじめ副院長先生、外勤医師にもそのような医師はいません。そのため、薬剤師からの疑義照会もございますし、医師や看護師からも薬剤師へ相談することが多く、お互いを尊重、信頼し患者様の安全に努めております。
「受診した先生に腎臓病があるって言うの忘れちゃった」「先生にお薬だしていただいたけど、大きくてのみづらい」「粉の薬が苦手」「この薬を飲み始めたら調子が悪い気がする」などあるかもしれません。お薬のことでご不明なことや心配事があれば、薬剤師へ相談してみてはいかがでしょうか。