コラム

透析関連情報

水は重要です:透析液のお話

透析を始めると「透析液」という言葉を耳にすると思います。しかし、「透析液」とは何を表しているのでしょうか?更に、透析液と水はどんな関係なのでしょうか?

 

1:透析液

「透析液」について説明する前に血液透析について書かせてください。
血液透析は拡散と浸透・限外濾過によって尿毒症状や体液貯留等を改善するために人の腎臓機能の一部を肩代わりするための治療です。全てが透析によって改善するわけではないため薬も併用されます。
血液透析(Hemodialysis)に使用される腎臓機能の代わりとなるのがダイアライザ(Dialyzer)という事になります。
透析液はダイアライザを介して血液と触れることにより拡散を起こしています。

 

2:拡散

 

透析の原理である拡散について説明します。
① 拡散と浸透
透析の拡散と浸透は濃度が高い方から低い方へ物質が移動し濃度が平衡状態となる事を言います。
身近なところでは急須に入れたお茶の葉から出てくる成分が急須全体に拡散して緑茶となります。
例えば、下の図で左側に緑茶を用意して右にはお湯を用意します(①)。その真ん中は穴の開いた板を入れます。そうすると、左側の緑茶は右側のお湯の方へ移動します。そして、浸透は右側のお湯は左側の緑茶の方へ移動します(②)。つまり、両方の濃度が同じくなるように緑茶とお湯が移動している事になります(③)。これが、拡散と浸透です。

 

3:透析液

「透析液」は先ほどまで説明した拡散を起こすために必要な薬剤です。
透析液の組成は体から除去したい物質は低濃度・体からあまり除去したくない物質は高濃度にしてあります。それで、不要な物質だけ拡散で除去できるようになっています。

 

4:透析液と水の関係

透析液は患者様の血液を介して拡散を行う為清潔である事が重要です。当院では毎月透析液内に細菌が繁殖していないかを検査しています。その結果、とても綺麗な透析液であると証明出来ているため全てのコンソールでOnline-HDFという治療が出来ています。

そんな綺麗な透析液ですが1回の透析でどれくらいの水が使用されていると思いますか?

透析液はA剤・B剤という元になる薬剤が必要です。そこに水を混ぜて透析液を作成します。教科書の内容では
1(A剤):1.25(B剤):32.75(水)の比率でそれぞれを混ぜて透析液を作成するとされています。
つまり、35Lの透析液を作成するためには32.75Lの水が必要という事です。

では、患者様一人にどれくらいの透析液が使用されているのでしょうか?
標準設定では1分間当たり500ml(ミリリットル)の透析液を使用します。

4時間透析として総量がどれくらいになるのか計算しましょう。

500ml/min ×60min × 4 = 120,000ml
これが4時間透析をされる方に使用される透析液量になります。
分かり易くL(リットル)に直すと120,000ml→120L

標準的な4時間透析の患者様一人当たり120Lの透析液が使用されているのが分かりますね。

120Lの透析液に水はどれくらい使われているのでしょうか?35Lの透析液を作成するには32.75Lの水が必要でしたね。

35(L) :32.75(L) = 120(L) : X(L)
35X = 3,930
X≒112(L)

120Lの透析液を作るには112Lの水が必要という事になります。

たくさんの水をとても綺麗に保つために日々機器の保守管理・点検を行って患者様の安全・安心な透析を行えるように努力しております。

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