mmHgとは?
血圧を気にされている方は多い様に感じます。
そんな血圧に単位がある事をご存じですか?
1:mmHg
日本高血圧学会の高血圧診断基準は診察室で収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。また、自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
ここで、皆さんは血圧の話をする時に「上の血圧が150もあったわ!」など話していませんか?
今回お話しする「mmHg」とは、その150の後ろに付く血圧の単位です。つまり、くどい様ですが正確には「上の血圧が150mmHgもあったわ!」となるわけですね。
「mmHg」読み方は「ミリメートルエイチジー」や「水銀柱ミリメートル」または「ミリメートルマーキュリー」という場合もあります。
<豆知識>
元素記号Hgはラテン語のhydrargyrumが起源となり水銀を表しています。
マーキュリー(mercury)は英語の読み方です。
そのため、元素記号と英語の読み方が異なります。
2:なぜ、水銀を用いるの?
水銀と聞くと水俣病を思い浮かべて良いイメージを持たない方がいるかもしれません。
なぜ、水銀を血圧測定の単位に用いているのでしょうか?
それは、血圧を測定する時に水では厳しいからです。
それは、どういう事?????
水銀を考える時に重要なるのが比重です。
比重とは、文字通り重さを比べる事です。
水を1とすると水銀の比重は13.6になります。
つまり、水より13.6倍重い事になります。
例として水と水銀で人に管を刺して垂直に上昇する血圧を測定してみる事にしましょう。
成人男性最高血圧130mmHgの方がいるとします。
<水の場合>
水は水銀よりも13.6倍軽い事になります。
そのため、130×13.6=1,768mm≒1.8m
<水銀の場合>
水銀はそのままの数値を用います。
130mmHgは130mmになります。
ここで、お伝えしたいのは人に管を刺して血圧を測定する場合に水では1.8mmの高さまで上昇しますが水銀では0.13mまでしか上昇しません。つまり、水銀は液体で存在する金属のため比重が重く高さが低くなるため測定しやすいことになります。
3.純金血圧計
高価な金属として有名な金の比重は19.32です。
金は常温で液体にはなれないため血圧計としては存在しません。
もし、液体で純金血圧計が存在したら水銀血圧計と比較してこのようになります。
初めにお示しした、日本高血圧学会の高血圧診断基準は診察室で収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を例とします。
もし、これを金で測定したらどうなるでしょうか?水・水銀・金を一覧にしました。
当たり前ですが金では高血圧ではなくなりました。
むしろ、低血圧ですね。
最後の、純金血圧計は例え話です。
もし、mmの後ろがHg(水銀)ではなくAu(金)の場合は今まで数値しか捉えていなかった意味が全く使えなくなる事も分かります。
この様に、単位の中身を見るととても奥が深い事が分かります。
臨床工学技士 綱川