コラム

疲れやすさの正体、見逃していませんか?~それ、「鉄欠乏性貧血」かもしれません~

暖かさが安定し、過ごしやすい日が増えてきました。


一方で、環境の変化による疲れが出やすい時期でもあります
今回は、見落としやすい鉄不足についてお話しします。
「疲れやすい」
「息切れしやすい」
「立ちくらみが増えた」
こうした不調の背景に、鉄欠乏性貧血が隠れていることがあります。

 

鉄は、赤血球の材料であるヘモグロビンを作るために欠かせない栄養素です。
不足すると、体のすみずみまで酸素を運ぶ力が弱まり、さまざまな症状が現れます。
【鉄が不足する理由】
● 出血
特に女性は、月経による出血で鉄が失われやすい傾向があります。

● 食事やダイエット
鉄は食事からとる必要があります。
しかし、偏った食事や急なダイエットで摂取量が不足すると、すぐに鉄不足になります。
特に、肉や魚を控える食生活では、吸収されやすいヘム鉄が不足しがちです。
サラダ中心・炭水化物中心・朝食抜きなども原因になります。
食べているつもりでも足りていないケースは意外と多いのです。

● 胃腸の状態 
鉄は主に小腸で吸収されます。
しかし、“胃酸が少ない”、“胃炎や腸の炎症がある”と、うまく吸収されません。
以下のような方は要注意です。
・ 胃薬を長く使っている
・ ピロリ菌や萎縮性胃炎がある
・ 下痢や消化不良が続いている
食べているのに不足する原因になります。

● 慢性的な炎症

炎症があると、体は感染から身を守るために、鉄を血液中に出さないようにします。
なぜなら、細菌も鉄を使って増えるためです。
そのため、体は鉄をしまい込むことで防御しますが、
同時に赤血球を作るための鉄も不足してしまい、貧血が起こります。
例えば
・ 歯周病
・ 関節炎
・ 皮膚炎
・ 腸の炎症
こうした身近な炎症でも影響します。

 

【主な症状】
・ 疲れやすい、だるい
・ 息切れしやすい
・ 立ちくらみ、めまい
・ 集中力が続かない
⇒ 脳や体に酸素が届きにくくなるためです

・ 顔色が悪い(青白い)
・ 動悸がする
⇒ 体が無理して酸素を運ぼうとします。

・ 爪が割れやすい、スプーン状になる
・ 髪が抜けやすい
⇒ 鉄は爪や髪にも関わっています

 

【鉄不足を見つける検査】
鉄欠乏性貧血は、複数の検査を組み合わせて判断します。
● Hb・Ht
貧血の基本的な検査です。
・ Hb:血液が酸素を運ぶ力の目安
・ Ht:血液中の赤血球の割合
どちらも低いと貧血が疑われます。
● MCV・MCH・MCHC
赤血球の大きさや中身を見る検査です。
・ MCV:赤血球の大きさ
・ MCH:赤血球 1 個あたりに含まれるヘモグロビン量
・ MCHC:赤血球の中のヘモグロビンの濃さ
鉄不足では鉄欠乏では、 赤血球が小さくなり(MCV↓)、
中に入っているヘモグロビンの量も減る(MCH↓)ため、
結果として薄い赤血球になる(MCHC↓) という特徴が現れます。

 

● 血清鉄・TIBC・UIBC
・ 血清鉄:今、運ばれている鉄
・ TIBC:鉄を運ぶ力(どれくらい運べるか)
・ UIBC:まだ運べる余力
鉄不足は、血清鉄↓、TIBC↑、UIBC↑となり、
運ぶ力ばかり増えて、実際の鉄は少ない状態になります。
● フェリチン
鉄の貯金です。これが低いと“隠れた鉄不足”が疑われます。

 

【まとめ】
鉄欠乏性貧血は、
・鉄が入ってこない
・吸収できない
・使えない
この 3 つの原因で起こります。
貧血は、Hb だけでなく MCV・血清鉄・フェリチンなどを組み合わせて評価することが大切です。
原因をしっかり見極めることで、体調改善につながります

 

作成者:臨床検査技師 篠崎 英美

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