コラム

透析関連情報

透析患者様のお口のトラブル

今回はお口のトラブルについてお話させていただきたいと思います。

透析患者様は健康な人と比較すると虫歯や歯周病になりやすいといわれています。

 

水分制限や透析での除水によってからだの水分量の減少や唾液腺の分泌機能が低下します。また、お薬の影響、糖尿病などの原疾患によりお口の中が乾燥しやすい状態となります。

 

一般に透析患者様では免疫力の低下を認め、唾液の量が減りお口の中が乾燥することで虫歯や歯周病、口内炎を起こしやすくなります。

味が分かりにくくなることもあり、味の濃いものを摂取し塩分量が増えるといったことや食欲の低下を招き、栄養状態の悪化につながってしまうこともあります。

 

虫歯があっても、「痛み止め飲んでいれば痛くないから。」とか「最近は痛くないから歯医者行かなくて大丈夫。」とお伺いすることが多々あります。血液透析を受けられている方はただでさえ週に3回の通院が必要なため、痛みなどの自覚症状がないとなかなか歯科受診までとはいかないのかもしれません。

しかし、虫歯を放置して悪化すると細菌により周囲に炎症が広がったり、細菌が血管内に侵入すると菌血症や感染性心内膜炎などの重篤な感染症を引き起こす危険性もあります。

歯周病においては症状が現れないまま重症化することがありサイレントキラーとも呼ばれ、脳梗塞や心筋梗塞、誤嚥性肺炎などのリスクが高くなることも知られています。

 

以上のようなお口のトラブルを回避するために口腔ケアはとても重要ですのでいくつか挙げさせていただきます。

 

・歯磨き

まずは食後と寝る前の歯磨きをしっかり行いましょう。特に就寝中は口腔内の細菌が繁殖しやすいため寝る前にしっかりと口腔ケアを行い、細菌を出来るだけ減らして寝ることが大切です。起床後、朝食前にうがいや歯磨きを行うことも有効です。

 

・保湿

こまめにうがいをすることで乾燥を防ぐことが出来ます。また、唾液腺のマッサージをしたり口や舌の体操でも唾液の分泌が促されます。

 

・入れ歯の調整

入れ歯が清潔に保たれていなかったり、お口に合わないと虫歯や歯周病の原因になります。毎食後入れ歯の洗浄を行い、合わない場合は歯医者で調整してもらいましょう。

 

・定期的な歯科受診

先ほどもお話ししたように血液透析の患者様では週3回の透析施設への通院もあるのでつい後回しにしがちです。痛みや腫れがなくとも定期的に歯医者を受診するようにしましょう。

 

 

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