HDPとは?
透析開始時に「今日は体重の増加が少ないからいつもより透析時間を短縮してくれないかな?」
という患者様の意見がありました。
4時間以上ベッドで横になっているのは疲れますよね。
しかし、スタッフは少しでも長く透析を実施すること推奨しています。
その理由をお話します。
1:透析を実施する理由
血液透析の原理は大きく2つに分類されます。
1つは限外濾過です。これは、圧力差により除水を行います。
2つめは拡散です。これは、体からの老廃物を除去します。
除水は入退室時の体重差で実施されたことが分かり易いと思います。
しかし、老廃物除去は2週目の採血で老廃物除去効率などを見ないとなかなか分かりません。
そのため、透析=除水という認識が強いように感じます。
2:HDP
HDP(Hemodialysis Product)は2002年にBelding Hibbard Scribner(ベルディングスクリブナー)医師らが臨床データを基に提唱した「透析量の適正さ」を表す指標です。
このBelding Hibbard Scribner医師は外シャントを考案された方です。
現在では感染面から使用されませんが一般的に使用される内シャントの前身となりました。
HDP=1回の透析時間×(1週間の透析回数)²
で計算されます。
この値は大きければ大きいほど望ましい透析が出来ていると判断されます。
統計的には72以上が適正、45以上がボーダーラインとされています。
この式の重要な部分は「1週間の透析回数」が2乗されている所です。
つまり、回数が多い程HDPが高くなりやすいという事です。
しかし、外来透析は原則として月に14回までとなっており簡単には増やせません。
そのため、透析時間を延長するしかありません。
以下に、HDP早見表を載せます。
基本的には週3回4時間透析です。
その条件ではHDP36(緑部分)程度となっており透析不足の判断です。
週3回透析では1回に7時間透析を実施してもHDP63で72以上(黄色部分)に到達できません。
しかし、HDP72へ少しでも近づけるために長時間透析が推奨されます。
HDPの考え方が出された頃よりも透析全般の技術向上によりこの通りにはならないと思います。
しかし、HDPを高くたもつほど尿毒症や合併症などによる症状が少なく・生命予後が良いと言われております。
食事をしっかり摂取して少しでも透析時間を延ばし元気に日々を過ごしましょう!
作成者:臨床工学技士 綱川